自然農について
自然農は奈良市の川口由一さんが、福岡正信氏の自然農法をヒントに新たに実験して始められた農法です。これからも分るように、より実践的な方法として川口さんは考案したのですがそれでも専業農家が取り組むには様々な困難があります。現在(2005年)の実力はせいぜい家庭菜園で自給する程度といえます。私は、まだまだ開発途上の技術だと思っています。抑草法、品種管理、育種など様々な実験や研究を通して時間をかけ、専業農家が取り組める農法に仕上げる必要があります。私のアプローチは、全ての面積を一気に切り替えて自然がどれほどの生産が可能かを見るというものでしたが、最初の4年間は全くものになりませんでした。自分が食べるものもままならないほどしか出来ないという事が分り始めて5年目にして、積極的に手を加えることをして、実験を繰り返し、ようやくある程度の収穫が得られるようになりました。
つまり、一挙に切り替える方法から、有機農業の手法を少しずつ組み込んで生産に確実に結びつける方法に切り替えたのです。その結果、現在の施肥、強抑草、草刈機の導入に至っています。
今のところ、「自然農は魔法ではないし信仰にしてもいけない。一般的農産物は、施肥によって水膨れさせたものだと私は断定できない。野菜は、草の中ではほとんど負けてしまいます。伸び伸びと太陽エネルギーが得られ、持てる光合成能力を最大限に生かせるようにしてやらなければならないのと、それに必要な栄養を与えれば、本来持っている能力が最大限に発揮できるようになる。」と言えそうです。
ということで、自然農は提唱されたままでは非常に生産性が悪いので、今年(2004)から生産圃場、実験圃場、種子圃場の3区分に分け、それぞれ必要な補助的物資の利用は行っている。実験圃場では、無肥料、有肥料、耕起、部分耕起、抑草法、裁殖密度、播種時期、播種法、品種など様々な実験を行って、どうすれば、現実的生産性を持つ自然農が実現できるかを見ている。自然は完璧だと思いますが、栽培は人為的なものです。野菜は自然が提供するよりも多くの肥沃度を必要とします。私たちが現在食べている野菜はほとんどが最近の外来種です。これらは、自然のものを様々な方法で育種し固定化してきたものです。
自然農を信奉する人はたったの一株できてもそれで満足しますが、栽培はそのようなわけにはいきません。つまり、3000株/反植えたとして数株又は数百株収穫できるということでは専業農家の栽培とはいえないのです。肥料を施すことに抵抗を感じる方も多いと思いますが、これも過渡的なものかもしれません。
川口さんが、福岡さんの方法に疑問を抱いて自分なりに試行してきたように、私も私の立場から消費者にいつも野菜を届けられるようにという目標を持って、自然農の原理を生かした山田流の農を実現したいと思っています。学ぶべきは自然の法則であって、先生は特定の個人ではなく目の前にある自然そのものなのです。多くの方は、農業の現場をご存じないと思います。広い面積で同じように作れるということはありません。一株一株違っています。それは、種が違い、土壌が違い、土壌生物、微生物肥沃度、土質など様々な要因が均質ではないからです。自分があてがわれた土地で、そこにあったように工夫が必要だと言うことです。
人が身体的にみな違い、考え方が違うように植物も土壌も違います。そして自然の法則はそれぞれに働いています。科学農法のように環境制御を行わないのですから、それが普通です。
今(2005)はそのように考えています。