バイオダイナミックとは

Stella Naturaより

地球は自己治癒できるのか?

 現在地球上の木、植物、水などが病んでおり気象も大いに変わってきている。有機農業は確かに人間による破壊を留めることはできるようだが、地球を癒すことはできるだろうか。生命力とは、その大本はなんだろうか。

バイオダイナミックスは、生命力の科学、自然の基本的原理の認識、これらの原理を農業に用いてバランスと癒しをもたらす方法であり、様々な方法や技術の集大成ではなく、現在進行している知識の道筋を示すものと言える。

Rudolf Steiner バイオダイナミクスはルドルフ・シュタイナーの人智学(anthroposophy)の一部で、自然現象を精確に捕える事、明晰な思考、霊の知識を総合した新しい科学的方法である。生命としての地球の精神的歴史を示し、人間性の成り立ちと自然界の進化を理解しようとするもので、基本原則には以下のものがある。

認識を拡げる
 コンパスを理解するためには地磁気を知る必要があるように、植物の生命を理解するためには、植物の成長に影響のあるものを全て理解しなければならない。顕微鏡的知識では不十分。植物は地球の内部から宇宙までの影響を受けている。農業を考える場合一般的に知られている以上に広範な検討が必要である。

自然を読む
 自然界の全てのものは、その形やしぐさでその本質的性質を示している。陰、陽射し、乾燥や湿った場所、土壌の違いなどを良く観察する事でより流動的な要素を理解する事が出来る。自然の言葉を理解する事につながる。そうする事で特定の行動を通して新たな点が浮かび上がりバランスを取りながら創造的に働ける事になる。過去70年の実験と実践の中からバイオダイナミクスという新たな知識が集成されてきている。

宇宙のリズム
 太陽、月、惑星、星の光が一定のリズムで植物に届いている。全てが植物の生命、成長、形態に貢献している。一つ一つのリズムを理解する事で、作物に最適な作付け準備、種蒔き、耕耘、収穫の時期を決めることが出来る。

植物の生命は土壌の生命と密接につながっている。
バイオダイナミクスでは、土が生きており、この生命力がそこに育つ植物の質と健康を支えていると認識している。従って、堆肥を作って腐植を安定的にすることを基本としている。

栄養の新しい視点
 人間は食べ物を消化することで体力を得ている。食べ物に生命力があれば、人間の活動も活発になる。バイオダイナミック農業では、量ばかりでなく、質を重要視している。科学農業では土壌に水溶性のミネラルを添加する事で量を得る近道を見出した。植物は、これを水と共に吸収してしまうため本来の健康、生命力、成長に必要なものを自ら探す植物の能力を無視してしまった。バイオダイナミックでは健康で生きた土壌と強く結びついた食べ物を育てる。

地球への薬、バイオダイナミックの資材
 シュタイナーは、古い勘と迷信から宇宙の影響を考慮した科学に変えなければならないと指摘している。洞察から独自のバイオダイナミック資材を考案している。自然な動植物を資材とし特定の方法で決まった季節につくって堆肥に利用する。これが、堆肥中の混沌とした要素を組織化し、完成したものは、宇宙の生命力を引き込んで地球の薬として働く。 二つの資材は、土壌生命を活性化するために作付け前に直接圃場で使ウモノと、受光力を高めるための葉面散布するものがある。資材の効果は確認されている。

農業の基本単位としての農場
 ルドルフ・シュタイナーは農業のコースで、肥沃度を維持するのに必要な数の家畜を飼い、家畜は農業の産物によって養われれべきであるという自給農業の理想を説いた。
私たちは、このような農場のあり方を他の状況にも見ることができる。私たちが関わる事の生命力を維持し循環する事と関わりがある。野菜屑、畜糞、落ち葉、生ごみは全て生命力を持っており土作りに使えるもの。堆肥作りは、バイオダイナミックでは鍵である。農場は自然に添った自給的命のあり方を教える貴重な教師でもある。

職業知識に基づく経済
 シュタイナーは、作物を育てたり農場を経営した事のない人たちが農業経済を決定するおろかさを強調している。
生産者と消費者が相互扶助する新たな方法が始められている。産消が共同で支える農業(CSA)=提携が農場の運営に必要な資金面を予め合意し、その収穫物を受け取る。地球、農場、社会が本来必要とするものに消費者がつながるようになる。こうする事で逆境にあっても協力する事が出来る。