千葉県有機農業推進連絡会 有機ネットちば |
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特定農薬問題関連
空中散布についてのページ
松枯れ病対策の空散に使われるフェニトロチオンの害を訴え中止を求めている方の協力要請です。
”予防原則”によりホルモン攪乱作用が指摘されている有機リン系農薬フェニトロチ
オンの空中散布中止と使用自粛を!
1961年に殺虫剤として登録されたフェニトロチオン(商品名:スミチオン)は、家庭
用殺虫剤などの用途のほかに、77年より松枯れ対策として日本全国でヘリコプターに
よって大量に空中散布されました。そして今日でも散布され続けています(1)。そし
て2001年に、この物質が強力な抗男性ホルモン作用をもつことが明らかにされまし
た(2)。その男性ホルモン受容体の拮抗物質としての強さは、DDT
の代謝分解産物で
あるp-p'DDEの約8倍とされました。
私達の2002年の調査では、松枯れ防止のためのMEP剤の散布面積が全国で一番広
い鳥取県において、男の子の胎児死の増加(死産男女比)が最も著しいことが明らか
になりました。(3)全国レベルで戦後死産率が低下しつづけているなかで、なぜか
男児の死産のみが増加(2000年には国レベルで男女比が2倍)しています(4)。
有機リン系農薬については大丈夫であると、これまで軽く考えられ使用され続けてき
ました。しかし、カーソンは「沈黙の春」の中で、すでに有機リン系農薬の神経毒性
を指摘しています。そして昨年明らかになったフェニトロチオンのホルモンかく乱性
は新たな知見であり、今後どんな悪い影響が子どもたちに現われるのか、私たちには
予想することさえできません。
米国ではアリかゴキブリの毒餌のため以外の用途でしか登録されておらず、野鳥の孵
化率減少などから1992年に森林用の登録がキャンセルされている物質です(5)。散布
された農薬が流れ込む水域では、水中生物にも影響を与えているはずです。実際、鳥
取市ではフェニトロチオンが水道水源地に誤散布され、フェニトロチオンの分解生成
物でフェニトロチオンの数千倍から1万倍も急性毒性があるとされるフェニトロオキ
ソンが簡易水道から検出されました(6)。
私達は、予防原則を適用してヒトへの悪影響がわからなくても、フェニトロチオンの
空中散布を禁止すべきだと考えます。それと同時に家庭用殺虫剤などの用途としての
使用も自粛すべきであると考えます。空中散布の実施主体、そして監督官庁は、以上
の問題をぜひ真剣に検討してもらいたいと思います。
この問題提起について、賛同してくださる環境ホルモン問題に関心のある方々は、下
記にお名前・ご住所・ご意見をお書きになって返信下さい。この文面の内容と頂いた
ご意見を再度まとめ、農林水産大臣への要望書として送付させていただきます。
出典:
1.農薬毒性の辞典 改訂版 植村振作、河村宏、辻万千子、冨田重行、前田静夫著
三省堂 2002.
2. Tamura H, Maness SC, Reishmann K, Dorman
DC, Gray LE, Gaido KW.
Androgen receptor antagonism by the organophosphate
insecticide
fenitrothion. Toxicological Sciences 60,
56-62. (2001)
3.水野玲子 都道府県別死産性比の推移と鳥取県の事例 2002年
環境ホルモン学会 第5回研究発表会要旨集 406頁
4.Reiko Mizuno. The male/female ratio of
fetal deaths and births in Japan
Lancet. 2000:356.738-739.
5..http:// www.epa.gov/oppsrd1/REDs/factsheets/0445fact.pdf
6. 朝日新聞1992.6.11 「農薬誤散布 鳥取市上原 毒性の高いフェニトロオキソ
ン家庭の蛇口から検出」
(以下を2月末日までに記入して rrmizuno@mb.infoweb.ne.jp まで返信下さい)
全国で実施されている松枯れ対策のための有機リン系殺虫剤フェニトロチオン(MEP
剤)の空中散布中止に賛成します。また、家庭用殺虫剤などの用途への使用自粛を求
めます。
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ご意見
福島県耶麻郡山都町の小川さんからのメッセージです。
山林への殺虫剤散布については、次の視点が必要だと思います。
1.殺虫剤散布は松枯れに有効か
2.殺虫剤散布によって生態系にどのような影響があるか
3.松は守る必要があるか
このうち、まず1.ですが、松が枯れるのはカミキリが媒介する線虫が持っているウィ
ルスによるものです。
殺虫剤はカミキリを殺すためですから、二重に間接的な効果しかありません。
2.カミキリが死ぬだけでなく、すべての昆虫に大きな影響があり、食物連鎖を通じ
て、カミキリを食べる小鳥をはじめ、多くの天敵が死にます。このため、散布された
林は、継続的に散布しなければ、かえってカミキリが多い状態になりやすい。
福島農試で1998年、「牧野のムギダニにスミチオンが有効」という「普及に移す参考
技術」が発表されました。内容は単純でした。一般の田畑にくらべ、川が流れ、生態
系が複雑で、多くの高等生物が一生を完結する牧野や山林における、食物連鎖や生物
濃縮には全く触れていませんでした。牛乳にどれだけ濃縮されるかまで調べなけれ
ば、「有効だから散布しろ」とは言えないはず。このような態度の研究は今後は許さ
れないと思います。
この松林に松茸が出るかは知りませんが、林を歩く人の眼や肺にも入ることを考えれ
ば、スミチオン以外の農薬なら良いとは言えないでしょう。
3.しかし抜本的には、松林は守るべき対象か、考える必要があります。土壌がやせて
いる、潮風に強い、等の理由で松林になっていることが多いのですが、代替できる樹
種はたくさんあるはずです。多様な樹種の雑木林として植林すべきです。畜産廃棄物
等による土壌改良も可能です。また、枯れた松材の運び出し、利用方法の技術開発も
必要です。私自身は落葉を集めて堆肥にしているので、堆肥にならない松は無くなっ
た方が良いと思っていますが、松茸が出る林については天敵など、安全な「農薬」の
研究も必要でしょう。